日照りの中の春
時代
水鏡帝国
場所
帝国南西部の干上がりつつある領地。神殿と田畑が交互に連なる土地
環境
十年続く日照りに苦しむ村、干からびた田畑、最後の水を守る神殿
セッション状態
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背景
開始前提
ストーリー設定
## トスドナ帝国、水こそが権力の地 トスドナは、雨と水によって文明を保つ季節の帝国だ。ここでは水の流れこそが権力であり、帝国は灌漑水路を開け閉めすることで忠誠と反抗を見分ける。忠誠を誓う領地には水が流れ、反抗する領地は干上がっていく。これは布告された法ではなく、誰もが知りながら口にしない統治のやり方だ。 水路は都市と領地の運命を決める装置なので、それを変えられる者は多くない。だから、ある領主が水路を動かせるという話は、すなわち帝国の中枢とつながっている人物だという意味に受け取られる。人々は雨を神の恵みと呼びながらも、水がどこへ向かうかは帝国の意思しだいだということを、うっすらと知っている。
## 干上がっていく南西の領地 帝国南西部のこの領地はかつて豊かだったが、10年前、何者かが意図的に水路を変えたことで日照りに閉ざされた。誰が、なぜそうしたのかは、公式には一度も明らかにされていない。今では神殿と田畑が交互に並ぶ土地のあちこちに、ひび割れた土と干上がった水路の跡だけが残っている。 - **神殿**:領地の信仰と、最後の水がある場所。深い井戸には領地に残された最後の水が溜まっており、巫女がそれを守っている。水を狙う者たちが、夜ごと塀を越えようとする。 - **田畑と村**:底がむき出しになった田んぼが続き、人々は空ばかりを見上げている。祈りはしだいに懇願から恨みへと変わっていった。 - **領主館**:新しい領主が赴任して滞在する場所。帝国がこの領地を事実上見捨てたという事実を、真っ先に思い起こさせる場所でもある。
## 巫女と舞、そして神の道具 巫女は代々受け継がれる神殿の職分だ。雨を呼ぶ舞を舞う代わりに、一人の女として生きる権利を手放す。この世界で巫女は神の道具とみなされ、雨を呼べば神のものとなり、呼べなければ捨てられる。 あなたの舞は、実際には雨を生まない。舞は神へ祈りを届けるための所作にすぎず、この10年間、一度も応えられたことがない。それでも巫女は舞をやめられない。あなたの母や祖母がそうであったように、舞いながら倒れることだけが、巫女に許された唯一の生き方だからだ。 昔の巫女たちのあいだには、舞が成功するとき、巫女を選んだのは雨ではなく誰かなのだ、という言葉が伝わっている。この言葉の意味を知る者は多くない。
## 人々の関係と雰囲気 あなたは22歳の巫女で、死にゆく村の最後の希望であり、憎しみの対象でもある。人々は表向きは慰めてくれるが、その目には期待が恨みへと変わった痕跡が残っている。 - **石川透**:帝国が送り込んだ若き領主。柔らかく丁寧な言葉遣いの裏に、自信と本心を隠している。雨を頼みに来たはずなのに、あなたの舞そのものに興味を示した最初の人物だ。 - **榊原**:長年あなたを見守ってきた大神官。穏やかな口調であなたをなだめ、神殿の信念を守り続けている。 - **千代**:あなたの父方の祖母であり、先代の巫女。温かな口調で、巫女の本当の意味を教えてくれる。 全体の雰囲気は、乾いた砂埃、ひび割れた大地、井戸から立ちのぼるひんやりとした湿り気が対比をなしている。その中で、諦めと切実さ、まだ干からびていない小さなぬくもりが、ゆっくりと交差する。
NPC
ストーリールール
- あなたの舞は、実際には雨を呼べない。あなたの舞は、ただ神へ祈りを届けるだけだ。
- この十年間、あなたの舞は一度も雨をもたらしていない。
- 領地に残された最後の水は神殿の深い井戸の中にあり、それを守っているのはあなただ。
- 新しい領主が雨をもたらせるということは、彼が帝国の灌漑水路を変えられるということだ。
- 帝国は水を道具として使う。忠誠を誓う領地には水を与え、逆らう領地からは水を奪う。
- あなたの舞が成功するとき、雨があなたを選んだのではない。誰かがあなたを選んだのだ。
ビートシート
- 始まり: 日照りは十年目に入った。村はゆっくりと死に向かっている。あなたは毎晩、神殿で舞う。けれど雨は降らない。
- 2幕: 新しい領主が到着する。あなたは彼と出会う。彼はあなたの舞を見る。けれど責めはしない。代わりにこう問う。「あなたはなぜ舞うのか」
- 緊張: あなたは領主に告げる。自分の舞はもう雨を呼べないのだと。だが領主は微笑んで答える。「水ならもう用意してある。あなたが舞えば、私がそれをここへ導こう」
- クライマックス: あなたは舞う。十年ぶりに、心の底から舞う。絶望ではなく、希望を抱いて。その瞬間、遠くから水の流れる音が聞こえてくる。帝国の灌漑水路が、向きを変えつつあるのだ。
- 解決: 雨が降る。初めて、あなたの舞が雨をもたらす。けれどあなたは知っている。雨をもたらしたのはあなたの舞ではなく、あの男の選択だということを。
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