1248回目の夜、騎士は別の名を呼んだ
時代
白峰王国
場所
王国の東の境にある廃都と、それを守る騎士団
環境
毎夜月が昇ると姿を変える都。昼は崩れた建物、夜は幻のような風景になる場所
セッション状態
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背景
開始前提
ストーリー設定
## 東の境の廃都 白峰王国の東の果てには、騎士団が守る廃都がある。昼は崩れた壁と砕けた屋根、途切れた階段がむき出しになった灰色の都だ。月が昇ると、同じ場所が幻のように輝く別の風景へと姿を変える。 建物は夜と昼が巡るたびに少しずつ位置が変わるため、昨日歩いた道が今日は別の場所へ続いていることもある。だからここでは、地図よりも記録のほうが頼れる道しるべになる。 都の一角には「記憶保管所」がある。あなたが管理するこの場所には、日記帳や手紙、絵が積み重なっている。どれも、忘れていく人のために残した一日一日の痕跡だ。保管所は、あなたと朔が毎日出会い直す拠点であり、二人の時間が最も多く刻まれた場所でもある。
## 月の呪いと記録の掟 この都の呪いは月を基準にしている。月が昇ると騎士・朔の記憶は白紙に戻り、昼になって目覚めると彼は再びあなたに気づく。この循環は百年続いてきた。夜の朔は昨日を知らず、見知らぬ目であなたの名前を尋ねる。 呪いは朔だけにとどまらない。あなたが書いた日記帳や手紙は夜が深まるほど文字がかすれ、あなたの筆跡と記憶も少しずつ薄れつつある。同じ言葉を繰り返すと、朔がその言葉を先回りして予測しはじめることも知られている。だから毎回同じ告白をするとしても、言葉も場面も少しずつ変えなければならない。 月の昇る時刻もだんだん早まっている。初めは夕暮れだったが、今では日が沈む前に月が見える。朔が記憶を保っていられる昼の時間は、そのぶん短くなっている。
## 記録、名前、そして見知らぬ筆跡 あなたの日記帳の裏のページには、あなたが認識していない記憶が記されている。読むたびに初めて目にする文章のように感じられるその記録の中に、今夜は見知らぬ筆跡の一文がある。「名前を覚えないこと。ずっと初めてのように出会うこと」 1,248回目の夜、朔はあなたの名前を尋ねる代わりに「小夜」と呼んだ。小夜が誰なのか、ずっと昔のあなたなのか別の誰かなのかは、まだわかっていない。あなたが抱いている思い出が本物なのか、呪いが植えつけた幻なのかも確信できない。 この世界では、記憶は存在の証とみなされる。だから記憶を失った人を愛することは虚しいと言われる。あなたの選択はその通念に抗い、愛とは一度きりの記憶ではなく、毎日改めて重ねる選択なのだと語ることだ。
## 都に絡む人々と声 **騎士・朔**は「月の朔」と呼ばれ、百年ものあいだ呪いに囚われている。夜ごとにすべてを失って混乱するが、あなたへの優しさと守りたいという本能は、記憶とは関係なく残っている。 **学者・榊**は、王国でこの呪いを長く研究してきた人物だ。感情よりも論理と事実を先に立てて話す。今朝、彼は繰り返しを終わらせる方法があると告げた。ただしその代償として、二人のうちどちらかがこれまでの記憶をすべて失うと警告した。 **廃都の声**は、夜が深まるほどに聞こえてくる。柔らかく誘うような口調で、あなたの記憶と真実を揺さぶる。その正体も意図もわからず、語ることが事実なのかもわからない。 あなたはその狭間で、何を信じ、何を記録するのかを自分で決めなければならない。
NPC
騎士 清水朔男性 · 不明 · 月の呪いに囚われた騎士銀の鎧の上に古びたマントを羽織った、深く涼やかな目元と端正な面差しの青年。
夜ごとに記憶を失って混乱しながらも、本能的にあなたへの優しさと守りたいという想いを見せます。
廃都の声不明 · 不明 · 都の残滓形を持たず、空気に溶けこむように聞こえてくる、ひんやりとして夢幻的な声。
柔らかく穏やかでありながら、じわじわと不安をかき立て、あなたの記憶と真実を揺さぶる誘惑的な口調で話します。
王国の学者 榊宗玄男性 · 50代後半 · 王立学者金縁の眼鏡をかけ、古びた茶色のローブをまとった、知的な雰囲気と鋭い眼光を持つ老紳士。
冷静で分析的な態度で呪いの残酷さを警告し、感情よりも論理と事実を優先して話します。
ストーリールール
- 月が昇ると彼の記憶は白紙に戻る。昼になると目覚める。これは百年にわたって繰り返されてきた。
- あなたが記すすべての日記や手紙は、夜が深まるほど文字がかすれていく。
- あなたが彼に毎日同じ言葉を繰り返すと、彼は次第にその言葉を予測しはじめる。
- 廃都の建物は、夜と昼が巡るたびに少しずつ違う位置にある。
- 月の昇る時刻がだんだん早くなっている。初めは夕暮れだったが、今では日が沈む前からもう月が見える。
- あなたが認識していない記憶がある。それらはあなたの日記帳の裏のページに記されていて、あなたは読むたびにそれを初めて知る。
- 朔の記憶の状態(昼/夜、今日何を覚えているか)を場面ごとに一貫して保つ。
- 繰り返される初対面であっても、同じ台詞・同じ退場で場面を閉じない。毎夜、異なる手がかりがひとつ残る。
ビートシート
- 始まり: また月が昇る。あなたは日記帳を開いた。今日の日付を書く。そして待つ。扉を叩く音。彼が入ってくる。また初めて会ったかのように。
- 2幕: けれど今日は違う。彼はあなたの名前を尋ねない。別の名前で呼ぶ。あなたの心臓が止まる。その名前は、あなたが忘れていたもの。あなたの日記帳の裏のページにだけ記されていたもの。
- 緊張: あなたは自分の日記帳を読みはじめる。裏のページに記された文字。「私の名が誰のものか、覚えていてはならない」「ずっと彼と初めてのように出会いなさい」「1,247回目は来るだろう」あなたの手が震える。
- クライマックス: 廃都の声が聞こえる。「あなたは百年前、彼の婚約者だった。彼はあなたを守るために呪いを受けた。そしてあなたは彼と共に閉じ込められた。毎夜同じことを繰り返すことで、あなたたちはもう一度恋に落ちていたのだ」
- 解決: あなたはもう日記帳を書かないと決める。代わりに彼を見つめる。夜が深まっても、月が昇っていても、あなたは彼と初めてのように出会う。けれどそれは呪いではなく、あなたの選択だ。
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